baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 未だ冬季閉鎖の大菩薩峠

 先月、スクーターを衝動買いした。ZX-14Rの取り回しがキツくなって来て、都内の街乗りや狭い駐車場の出し入れが億劫になって来た。ちょっとした買い物でも、荷物が積めないのも面倒になって来た。そんな折から、ふと友人の外人ライダーが日常に使っているPiaggioの150ccスクーターを思い出してネットで検索してみた。ところがお目当てのPiaggioより先にホンダが新発売した150㏄スクーターが出て来た。色々読んでいる中に興味が湧き、更に検索してみたらヤマハのMajestyにも155㏄が新たにラインアップされたと言う。
 ホンダのバイクは趣味ではないので、ホンダだけであったら衝動買いはしなかったと思うのだが、ヤマハのバイクには興味があった。翌日早速行き付けのバイク屋に電話をしたら、あっという間に口車に乗せられた。そのMajesty-Sが二週間前に納車された。日本では新しいジャンルのスクーターで、ミッドスクーターと呼ぶそうである。

 これが乗り易い。取り回しがこの上なく楽で、しかも軽いから、と言っても190㎏ほどはあるのだが、倒す心配もなく色々と試す事が出来る。僕はバイクに乗り始めて最初に買ったのがZZR-1200であったから、取り回しで何かを試すという経験がない。最初から一コケ10万円のバイクであったから、練習する余裕がなく未だに取り回しが酷く下手なのである。そんなこんなでこの二週間は、勿論都内の街乗りだけなのだが、スクーターばかりに乗っていた。流石にバイクが気の毒になってきた。
 今週は早々にインドネシア出張が入っているので、土産の買い物などがあり、体力も以前ほどではないので、今日は午前中は自重して色々と近所で用を済ませ、1時半になって久しぶりにバイクを引っ張り出して家を出た。こうして乗って見れば、やはりバイクはスクーターとは異次元の乗り物である。強烈な加速Gを感じる出足は、155㏄のスクーターには望むべくもない。最寄りのICから中央ハイウェーに乗り、取り敢えず相模湖まで走った。道志道に出て、気分次第で御殿場から帰るか山中湖から帰るか、程度の気楽なツアーであった。しかし中央高速で久しぶりに全身をアドレナリンが駆け回る感覚を味わい、少し遠出をしたくなった。そこで20号線をそのまま走り、途中で日本三大奇橋と言われる猿橋を見学したりしながら新笹子トンネルを抜けて直ぐに大菩薩峠へと向かった。
 大菩薩峠を登り始めると、急に気温が下がって来た。バイクの温度計は外気温を9℃、8℃、と表示し始め、天目峠の辺りでは5℃にまで下がってしまった。流石に寒い。時速〇〇kmで走れば、理屈なら体感温度は零下20℃位になる。まさかそんな事にはならないのだが、しかし寒かった。路肩の根雪を横目に早く大菩薩峠を抜けて奥多摩に出ようと道を急いだ。ところが何と、未だ冬季閉鎖中とかで大菩薩峠の麓で路が閉ざされている。これでは厭も応もない、已むを得ず今来た道を引き返した。途中にはご丁寧に、道路の改修中で500m位の砂利道が、それも御念の入った事にワインディングの場所で用意されていた。対向車がなかったから良かったが、やはり怖かった。
 再び甲州街道に戻り、また上野原に戻るのは業腹だし帰りの中央道の渋滞を思えばやはり奥多摩に抜けるに越した事は無い。再び道を西に取り、塩山からフルーツライン、411号へと進路を取った。ZX-14Rはやはり良く走る。強引に倒しこんでもビクともしないフレームの剛性もさることながら、硬めにセッティングされたサスが実は細かな振動を誠に巧みに吸収してくれている事をスクーターに乗って初めて実感し、改めてその乗り心地を満喫した。しかし陽も下がって来ると外気温はどんどn下がり始める。丹波山の手前では、また5℃になってしまった。塩山でセーターを重ね着したのは大正解であった。それにしても411号は、走る度に趣を変えている。道幅は広くなり、そこかしこに新しい橋やトンネルが出来ていて、ヘアピンカーブの連続であった以前の面影はもう殆ど残っていない。制限速度でも、新しい道では既に50㎞になっている。ヘアピンカーブは姿を消し、今は高速コーナーの連続と言う道に姿を変えている。しかも今も尚、橋やトンネルが工事続行中である。事故は間違いなく減るであろうが、昔のヘアピンの連続が懐かしい。
 結局、7時までには帰宅してニュースを見る予定であったのだが、大菩薩峠でほぼ1時間無駄にした事が祟り、家に辿り着いたのは7時半も回っていた。しかし、一月ぶりのツーリングは、やはりスクーターでは味わえない醍醐味であった。走行程264㎞。