baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 断食

 イスラムの世界では昨日から断食が始まった。日本では今が一番昼間の長い時期なので、日本にいるムスリムの人達には特に苦行である。太陽が上がっている時間を基準に断食の時間が決められるので、今の日本だと朝の2時40分までに食事を終え、夕方7時過ぎまで一切の飲食を絶ち、心身ともに清浄な日常を心掛ける事になる。
 そんな断食の初日に、急遽ジャカルタに来る事になった。元々7月中旬に来る予定があり、また今週末には九州に用があるので、今回は2泊程度の短い出張となる。ジャカルタに夕方に着いたが、税関が酷く混んでいた事もあり、通関が終わってタクシーに乗った時には断食明けの直前であった。因みに赤道直下のジャカルタでは一年中、4時半前後に断食が始まり6時前後に明ける。運転手に断食をしているか訊いたら、していると言う。と言うのは、インドネシアにもクリスチャンや仏教徒がいるし、中にはムスリムでも断食を諦めた怠け者もいるから、一応確かめた方が良い。まぁ、初日だから最初から諦めるムスリムはまずいないではあろうけれど。
 そこで、運転手に断食明けは遠慮せずにやって良いと言うと、彼は迷わず高速沿いのコンビニに車を止め、小さな箱に入ったお茶を二つ買ってきて断食を終えた。普通はスナックも口にするのだが、彼はそれをしないので遠慮しなくても良いと言ったが、もう十分と言いながら直ぐに車の運転を再開してくれた。断食明けの瞬間の道路はガラガラで、まるで夜明けの東京の道路の様である。普段なら渋滞で1時間半も2時間も掛かる道のりが僅か30分程でホテルに着いてしまった。
 夕食は外に出るのも億劫でホテルで摂ったが、日曜でもあり、断食の初日は誰も家で家族や一族郎党と断食明けの食事をするのであろう、食堂はガラガラで殆ど客がいない。断食中は何かと仕事の能率も落ちるからか、宿泊客も少ないのかも知れない。もっとも飛行機は超満席であったから、日本のインドネシア・ブームは断食などには影響されない程根強いのかも知れない。
 機内で読んだ新聞に、ホンダ・ジェットの米国での初飛行が成功したので、来年から納入が始まると言う記事が載っていた。あの熱帯魚の様な可愛らしい飛行機がいよいよ空を飛ぶらしい。やっぱりまた、僕も飛行機の免許を取りたくなった。