baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 予定通り実施すべき消費増税

 どうやら来年10月の消費増税は1年位先延ばしにして、年内に衆院解散・総選挙となるらしい。総理大臣が安倍晋三に代わってからは外交も内政もブレなかったので、日本にもやっと安定政権が出来、少しは落ち着いて政策が実行されるだろうと期待していたのだが、消費増税の先延ばしがもし事実であるのなら、誠に残念としか言い様がない。
 ここ二期続けて四半期の経済成長がマイナスだった事が強く影響しているようだが、今年4月の消費増税前の駆け込みが予想以上だったのではなかろうか。一番分かり易い自動車は、増税前の駆け込みが終わったらその後はさっぱり売れず、近所の自動車販売店では何時も閑古鳥が鳴いている。自動車に限らず、住宅も落ち込みが激しいと言う。しかし高額の買い物であれば、個人であれ企業であれ、何れ購入することが決まっているなら多少の無理をしてでも増税前に購入するのは当たり前である。そして、その反動で増税後の消費が一時的に伸びないのもこれまた当然である。むしろ消費増税からまだたったの半年しか経っていない今、何故そんなに神経質になるのだろうかと訝しい。或いは安倍晋三の本心は、お粗末な閣僚が続出する責任をあやふやにする為に、衆院解散をしたいのだが大義がないので、消費増税先延ばしに理屈を求めるものであろうか。もしそんな事であるなら尚の事、許し難い。
 本来日本の消費税は先進諸国に比べても安過ぎるのであって、財政破綻の現状を冷静に考えれば、近い将来に16〜20%程度にまで増税する必要があると思う。それが、8%から10%へと、僅か2%上げるかどうかという時にもう腰が砕けている様では全く先が思いやられる。消費税の10%への引き上げは、単に国内の問題に止まらず国際社会へのコミットでもある。従い、今消費増税の先送りを決めれば、折角戻って来た外資が引いてしまい、上がった株価はまた低迷し、他方で国債金利は上がって一層国庫の負担となる。株価が下がれば再び世間は財布の紐を締めてしまい、折角動き出した物の流れも元の木阿弥になる。安倍晋三は、来年の消費増税を決断したが為に思うように活性化しない経済が再び冷え込み、デフレ経済に戻る事だけは絶対にあってはならない、と言う理屈を並べるのであろうが、財政再建の先送りを嫌う外資が引いてしまえば経済に与えるマイナス・インパクトは消費の冷え込みの比ではなかろう。 
 それよりも今一番の問題は、消費増税による消費の伸び悩みではなく、現在の行き過ぎた円高にあると僕は思う。特に原発が一台も稼働しておらず嫌でも化石燃料を輸入し続けなければならないこの時期に、円が対ドル116円などと聞けば、誰でも電気代や燃料代が高騰すると怖気ずく。エネルギーを筆頭に、食料、紙パ、プラスチック、金属など、凡そありとあらゆる製品の値上がりは避けられない。この円高を早く何とか抑えないと、国民の財布は益々堅くなり、企業も一部の輸出依存企業を除けばエネルギー・原料高で業績が悪化するのは目に見えている。円を適正なレンジに置いておく事は至難であるが、それでもやはり100円プラス・マイナス5円ぐらいが円の実力であると言うのは以前からの僕の持論である。
 前から決めていた消費税再増税の先送りを決めたところで経済に活気が出る訳はなく、日本の政治に失望した外資が日本売りに走って株価は暴落、円が一層弱くなって1ドル120円を切ったりすれば、悔んでも悔やみ切れない地獄が訪れる事になる。人気商売の政治家の腰がフラ付くのは分からないではないが、日銀が狂気と紙一重の金融緩和を続けているのだから、安倍晋三は歯を食いしばってでも来年の消費増税は断行しなければならない。更には万が一、安倍晋三の本心が他にあって衆院解散をするのであれば、間違っても消費増税先延ばしをカムフラージュに使う事があってはならない。