baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 ムバラク大統領と小沢一郎

 チュニジアを半ば私物化していたベンアリ大統領の23年間に及ぶ独裁を先月転覆した民主化運動が、先月末からエジプトに飛び火した。そして、29年間独裁体制を布いているムバラク大統領が、市民の力の前に風前の灯になって来た。昨日、というよりは今日の未明のニュースでは、現地時間の夜、大統領がテレビで演説をする予定だが、その際に自ら辞任するのではないかと言われている、という観測を伝えた。同じく米国からのニュースとして、CIA長官が議会で、ムバラク大統領が辞任するという情報を多数持っており、辞任しても驚かないが確証を握っている訳ではない、という説明をしている場面まで流れた。
 当の本人は今まで市民の辞任圧力に対し言を左右にし、9月までは現職に留まるが次の大統領選には立候補しないと言って来た。警察が職場を放棄したのをきっかけに軍隊を投入したが、間髪を入れずに独仏から武力を使う事を牽制され、米国からは9月では遅いと早期辞任を迫られていた。いよいよ策に窮しての辞任かと思われた。特に回教国では金曜日に大きな動きが起きる事が多い。多くの回教国では金曜日は休日であったり半ドンであり、金曜日の昼からの礼拝は一週間で一番大事な礼拝である。普段は家や職場で礼拝している人も、この日はモスクへ出向く。つまり、自由な時間に大勢の人が集まるのが金曜日の午後なので、市民運動などには持って来いの日なのである。反政府派は今日の金曜日に大デモを予定しているようで、その先手を打っての大統領のテレビ演説であった。
 ところが大方の予想を裏切って、未だ辞任するとは言わない。今政権を禅譲する事は却って混乱を招くので、エジプトの将来の民主化の為の憲法改正などを自分が大統領の時に実行して、9月の大統領選挙で次の大統領に政権を譲ると言う従来の主張を変えなかったようである。自分が独裁に都合が良いように変えて来た憲法を、辞める前に民主的な憲法に改正すると言うのであるから、随分と自分勝手な話である。これに対して市民は相当テンションが上がっているようなので、今晩の動きがどうなるかの予想が付かない。一方で一部の野党は話し合いに乗る構えの様であるから、反政府派も一枚岩ではない。当の大統領は、家族は既にアルジェリアか何処かへ避難させており、自身もすでにカイロにはいないという話もあるから、身の安全は考えているようである。後は後世に名を残すか、汚名を着るか、という選択なのであろう。
 エジプトは未だ騒ぎ始めてから2週間足らずであるが、こちら、日本のドン、小沢一郎は既に2年以上も世間を騒がせ続けている。強制起訴が決まってからもすでに4ヶ月、その間民主党執行部は色々言うが何ら具体的な手は打てないで来た。一方の小沢一郎は、ムバラク同様言を左右にして世論と民主党執行部の批判を躱し続けて来た。昨日はまた菅直人が直接離党を促したが、相変わらず小沢は離党を拒否した由。そういう事は「健全な政党政治と民主主義の発展にとって妥当ではない」と言うのが理由だそうだ。自分が幹事長の時は陳情も予算の配分も全て幹事長室で取り仕切ってしまい、健全な政党政治も民主主義も何処かへ置き忘れたが如き独裁だったのだから、口の減らない親父としか言いようがない。自分に尻尾を振らない自治体や業界には、予算を回さないのだから性質が悪かった。
 しかしこうしてムバラク小沢一郎とを並べて見ると、まるで相似形に見えて来る。どちらも自分勝手な独裁者で、言う事も自分の都合でコロコロ変わるが、その辻褄合わせは天才的で、周囲を煙に巻いてしまう。独裁者だから、勿論実行力はあるし政治手腕も一面高い。だから、それなりに評価される処があるし、擦り寄る人間には事欠かない。二人とも原理原則ではなく恣意で政治をするから、何れは破綻する。そして何よりも、二人とも金集めが上手である。ムバラクの贅沢さは勿論小沢一郎の比ではないようだが、自宅に何時でも億円単位の現金を置いておく小沢一郎も、納税額とは裏腹に日本人としては大変な金持ちと言える。更に、一度この人達に睨まれてしまえば、もう人生お終いであるところも同じである。
 その小沢一郎は、菅直人と会った後、鳩山由紀夫輿石東と食事をしたそうである。どちらも、顔も思い出したくない人物だが、小沢一郎と一蓮托生の腹を括っているのであろうか。前回の参院選で落選すれすれだった興石はともかく、殊鳩山由紀夫は、そこまで状況を理解しているか怪しいものではある。