baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 豪華客船座礁 〜 野田内閣改造

 昨日から、イタリアの豪華客船の座礁事故の話が当地でも喧しい。少々疑わしいとは思うが、この船の乗組員と乗客に、合わせて170人のインドネシア人が乗船していたというニュースがある。13人だったか、その程度の乗客と、残りは乗務員である。今のところ死者の報告はないが、今朝の段階では乗務員に数名の消息不明者がいると言う。
 インドネシア島嶼国であるので海には馴染みが深く、船員や漁船員の出稼ぎは多い。日本の海難事故でも、貨物船にせよ漁船にせよ、最近は大体インドネシア人の乗組員が混じっている。普通のインドネシア人は、余り気は効かないが非常に真面目なので評判は良い、と釧路の漁船の乗組員に聞いた事がある。賃金は安いし粗食にも耐える。ご他聞に漏れず、地中海クルーズやエーゲ海クルーズの豪華客船に出稼ぎに行くインドネシア人が最近は増えていると言う。つい数日前の当地の新聞にも、エーゲ海クルーズの豪華客船でバーテンダーをやっていたインドネシア人が帰国して、インタビューを受けた記事が載っていたばかりであった。今回はかなり人災の趣が強い事故のようだが、日本人に被害者がいなかった今、インドネシア人にも犠牲者が出ない事を祈るばかりである。
 今度の事故では、船長が乗客を置き去りにして先に逃げ出してしまったと言うのだから始末が悪い。イタリアはラテン系の国で、日本などに比べれば遥かに大らかで融通無碍だから、あり得ない話ではないと思う。機械でも車でも繊維製品でも、イタリア製は意匠は素晴らしいが品質は必ずしも良いとは限らず、ブランド力やデザイン頼りで売られる事が多い。そんな国民性だから、日頃の訓練もいい加減なら事故に際してもマニュアル通りに乗客の避難を優先しなかったと言うのも想像に難くはないが、最高責任者が先にいなくなると言うのはいくらイタリアでもやはり随分と酷い話である。

 日本では先週末に、野田内閣が改造された。野田佳彦も消費増税を視野に、背水の陣を敷いたものであろう。問責決議を受けた山岡賢治、一川保夫が更迭されたのは当然である。何れも閣僚たるには全く不適切な言動であった。それだけ当然の入れ替えであったから、新内閣も余り代わり映えはしない。それでも職務を公然と放棄すると宣言した、サボタージュ大臣の平岡秀夫法相と、逆立ちしても能力が伴なわない蓮舫行刷相が更迭されたのは良かった。特に平岡の更迭は、これで法治国家たる日本の筋がやっと通る事になる。個人的な感想としては、露骨に企業を痛めつける発言の多い枝野幸男と、左翼系である事に加えて閣僚となるには経験も能力もまるで伴なわない小宮山洋子がまだ目障りではある。
 それと新しく防衛相に任命された田中直紀が、周囲の懸念にものの見事に応えてしまったようである。田中直紀野田佳彦の党内融和の最後の砦として、鉢呂、山岡、一川が外された後に入閣した小沢一郎グループである。しかし田中真紀子ですら亭主に防衛相は荷が重いと吐露し、党内からも国会での応答が心配であると評された人選であるから、馬脚が現れるのは時間の問題であった。とは言え、防衛が専門ではないにしても勉強不足も甚だしい。岡田克也が副首相に就任早々丸一日勉強したと言うのに、田中直紀は何をしていたものか。早速昨日のNHKの番組で武器輸出三原則緩和とPKO派遣部隊の武器使用基準緩和の区別もつかなければ、防衛相として最も神経を使わなければならない普天間基地移設問題でも失言をしたようである。自民党の人気がさっぱり回復しないので野田佳彦は取り敢えずは未だ強気のようであるが、民主党の人材払底は目を覆うばかりである。中でも小沢一郎に近い人物にはろくな人材がいないように見受けられる。