baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 バリ民主主義フォーラム

 日本では来る日も来る日も、年内解散か、いや解散は年明け以降だ、年内解散を確約しなければ重要法案成立には協力しない、解散は総理の専権事項である、など政局のニュースばかり。文科相は三大学の設立認可を却下したかと思えば、一転謝罪して許可する事にしたり、こちらはもう政治の体を成していない。とにかく国内の政局や総選挙を視野に入れたスタンドプレーに熱心な国会議員と、与野党間どころか与党内でまで互いに足を引っ張り合い、そこにポピュリズムがはっきりしてきた維新の会や、都政を放り出して国政にカムバックしてきた石原慎太郎が顔を出して益々国政を引っ掻き回している。
 連日の変わり映えもしないニュースに嫌気がして社会面を見れば、何やら奇怪な連続殺人事件や、警察の不手際によるストーカー殺人など、こちらも異常な話ばかりである。山中教授のノーベル賞受賞や吉田沙保里国民栄誉賞の様な明るい話はあっという間に通り過ぎてしまうが、異常な暗い話は何時までも延々と続く。
 当地ではインドネシア政府主催の「バリ民主主義フォーラム」が昨日まで2日間開催され、ユドヨノ大統領が議長を務め、韓国の李明博大統領とオーストラリアのギラード首相が共同議長を務めた。このフォーラムには今回は83ヶ国・機関が参加し、イランのアフマディネジャド大統領やアフガニスタンカルザイ大統領、トルコのエルドアン首相などが来印尼している。日本も参加しているのかも知れないが、当地では全く名前も出てこないから、或いは不参加なのかも知れない。フォーラムの合間には当然の事ながら主要国首脳とユドヨノ大統領との会談が持たれ、また閣僚レベルの会議も盛んに行われる。
 このフォーラムはインドネシアの提唱で2008年から始まったもので、今回はミャンマーで起きている予想外な民主化への移行や中東でのアラブの春、或いはモンゴルや中央アジアで成長する民主主義などが話題になったと言う。一方で、「民主化には経済的、政治的な権利が庶民にまで実感できる事が必要である」といった中国批判のような意見や、「普遍的な理想の追求と個々の国固有の状況とのバランスが大事である」といった大国による押しつけ民主化を批判する意見なども出たと言う。
 昨今の国際化はASEMが終わったと思えばもうこうした国際会議が開かれると言う事であり、またこういう会議を主導する事でその国の国際的な地位に重みが出る訳である。ユドヨノ、李明博、ギラードは何れもASEMからの連投である。翻って日本を顧みれば、この数年は国内にばかり目が向いていて、国際会議を主導する、新しい枠組みの、或いは新たな目的の国際会議を提案する、といった対外活動は一向に聞かれないし、国際舞台で日本が脚光を浴びる機会も殆どなくなっているように思う。日本にいれば、恐らくこのフォーラムの事すらも殆ど気付かないのではないかと思うのだが、83ヶ国もの国・機関が集まって2日も討議するのであるから実際は重要な国際会議と言える。日本のメディアも含め日本人は余りにも海外に疎くなってしまっていると思う。そして足下のチマチマした政局に国会議員がこぞって右往左往している間にも、世界は色々な事でスクラムを組んで動いていて、日本はどんどん世界から取り残されて行く。