baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 怒れ、都知事〜国による尖閣諸島の買い取り

 石原慎太郎が、政府をペテン師と怒っている。当然である。もっと怒って当然である。
 石原は野田佳彦に既に2週間も前に、国による尖閣諸島保有を、船溜まりの建設を条件に提案した。それに対し野田はちょっと待って欲しいと猶予を依頼、石原も同意した。それから2週間、何の連絡もなかったそうだが、突然藤村官房長官が国による購入で地権者と基本合意したと発表したものである。全く仁義を無視した、モラルの片鱗もない騙し討ちである。ちょっと時間が欲しいと言っておいて、裏で交渉を進めていたと言うのであるから、商売の世界であればこんな相手とは誰も二度と商売はしない、国が商売人であったなら正に自殺行為の卑劣な遣り口である。それに知らない仲ではない誰かが交渉中であれば、その交渉が決裂するまでは邪魔はしないのも商売人の仁義である。もっとも知らぬ相手、或いは競合先であればこの限りではないから、民主党石原慎太郎を喧嘩相手と認識していたのであろうか。それにしても、ちょっと待って欲しいと騙した段には言い訳の術はない。
 そもそも去る4月に突然石原慎太郎が東京都による購入を発表するまでは、野田政権は尖閣諸島の問題など少しも眼中になかったのは明らかである。それが石原慎太郎が国の無策に危機感を募らせ具体的に動き出すに至り、更には石原慎太郎の呼びかけに賛同した多くの国民が寄付に応じた事から野田政権も黙っていられなくなったものである。加えて香港の活動家等が上陸するに及び、国としての対応が国民の注視の的となってしまい益々黙ってはいられなくなった。しかしこの数ケ月の動きをみれば、常に政府が東京都の後追いなのは明らかで、元々買い取るなどと言うアイディアすら政府にはなかった訳である。因みに8月31日現在の寄付件数は100,716件、金額にして14億5824万円である。国は地価も東京都の提示価格より高値を付けたものであろう。以前は政府には接触の途も無く、元々は仲介者を通じて東京都に売却したいとしていた地権者と突然基本合意したと言うのが本当ならば、値段を吊り上げたに違いないと思うのは当然である。野田佳彦石原慎太郎から聞き出したものかも知れない。
 しかも政府は中国への慮りから、島を国有化した後も石原が言う船溜まりを作る予定はないと言う。別に船溜まりでなくとも、埠頭を整備し、レーダー基地や灯台などの恒久施設を作るなら良いが、そういう計画も聞こえない。それなら現状と何が変わるのであろうか。実効支配を強める事無く、強気な東京都を騙し討ちで黙らせて、引き続き従来通り中国の顔色を窺う心算なのであろうか。中国の活動家が如何に狼藉を働こうが、法を曲げてもまた強制送還でお茶を濁してしまう心算なのであろうか。それが、胡錦濤国家主席小沢一郎が150余名の新人議員に握手して貰った事への恩返しなのであろうか。東京都に対する仁義もなければ、独立国家としての矜持もない野田政権である。
 今後どういう決着を見るのかは未だ分からないが、何れにしても石原慎太郎には、集めた寄付を安易に国庫に入れるのではなく、毅然と筋を通した決着を期待したいものである。僕も含め、筋違いの東京都が見るに見かねて購入しようというから、費用の歳出も難しかろうと寄付をした人が大部分であると思う。初めから政府が国費で購入すると言うのであったならば、寄付に応じた人はいなかったのではなかろうか。となればこの14億5千万円は、せめて実効支配の強化に使って貰わねば10万人余の寄付者は納まりが悪かろう。