baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

インドネシア近況(II)

先日仕事でバリに来た日本人に付き合って一日仕事をしたのだが、その人に「休みの間は、一体毎日何をしてるんですか?」と尋ねられた。「毎日、昼間からビールを飲みながら本を読んだり昼寝をしたり、何もせずにゴロゴロしてます」と答えたら、そんな退屈な生活は自分なら気が狂うと呆れられた。でも僕は生来怠け者に出来ている上に、今時分のバリは頗る過ごし易いのである。冬のオーストラリアの、冷たく乾いた空気が海を渡ってバリに着く頃には程よく温まって、快適な風となって朝から晩まで吹き続けてくれるから、昼間は30℃を超える暑さでもそれ程暑くは感じない。毎日紺碧の海を眺めながらゴロゴロと、もう今日で丸一週間になるが、退屈どころか帰国が近ずくにつれ日々帰りたくないと言う思いが募って来るのである。
今日は犠牲祭である。インドネシアには大きく二つのイスラム団体があり、そのうちの一つは昨日を犠牲祭としているが、大きな方の団体と政府は今日を犠牲祭としている。シーア派スンナ派程の違いはないのだが、何が如何違うのか良くは知らない。けれど、少なくとも暦の数え方は常に一日ずれる様である。僕のいるヌサドゥア地区でも今日は犠牲祭の集まりがあり、朝から広場に大勢の地元民が集まっていた。バリではムスリムは圧倒的少数派なのだが、一同に会すればやはり相当な人数である。とは言え異宗教間の抗争の話は聞いた事がないから、バリでは上手く融和しているのであろう。今日はヌサドゥアの属する郡だけで105頭の牛と281頭の山羊が供えられると言う。その後解体された肉は貧困者に配られる。竹籠にバナナの葉を敷いて配られる肉は、一様に一人当たり2.5キロづつだそうである。
ジョコウィ大統領が10月26日に訪米してオバマと会談する事が昨日決まった。今は習近平が訪米中だが、米国がアセアンに気を遣っている表れである。米イ間の懸案として最近必ず出て来るのは中国の南シナ海での活発な動きと二酸化炭素排出を主とする環境問題である。更にインドネシアには野焼きを主原因とする森林火災とそれに付随する近隣諸国への煙害問題もある。インドネシアでも煙害は甚大で、今日から西カリマンタンの空港が閉鎖された。ジョコウィは数日前に、野焼きで耕作地を開拓した企業は数年から無期、営業停止にすると発表したところである。
ジョコウィのこの一年を見ていると、従来の大統領よりは随分中国寄りに見える。それが支持団体の闘争民主党の圧力によるものなのか、或いは実業家肌のジョコウィの算盤勘定の結果なのかは分らない。しかし幾らインドネシアが発展して来ているとはいえ、未だ中国の前では一溜まりもないのだから、決して油断する事のない様米国にはしっかり釘を刺して貰いたい。特に日本のシーレーンの真ん中に位置するスプラトリー諸島に中国が一大軍事基地を作っている事には、アセアンの盟主としてもっと明確に非難して欲しいのだが、どうもインドネシアは声が小さい。この際オバマには、中国と適正な距離を保つ様、そして従来の親日路線を更に発展させる様大いに発破を掛けて欲しい。ジョコウィが親日路線を発展させても、彼が大統領に選ばれる原動力となった一般国民の支持が離れる事は決してないのだから、中国には毅然として欲しいものである。