baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 リコールと品質保証期限

 車のリコールのニュースが喧しい。トヨタプリウスのブレーキのプログラミングに若干の問題があり、人により違和感を覚えるとの理由でリコールになった。元々はアメリカで始まった問題なので、若干政治的な臭いがしないでもない。そして対象台数が無闇に多いので連日ニュースを賑わせている。そうしたら今度はホンダも44万台ほどリコールをするそうだ。こちらはエアバッグの不具合だそうだが、未だこの不具合が実際に起きた例は報告されていないと言う。飽くまでも事故に備えてのリコールのようだ。
 トヨタのブレーキの問題は、日本ではそれが理由で事故が起きたとも聞かないので単なる慣れの問題なのかも知れない。事実、一瞬ブレーキが効かないと感じた時に更にブレーキを強く踏めば瞬時にブレーキが効くそうだ。普通なら空走していると感じたら本能的に更にブレーキを踏むであろうから、トヨタの内部にリコールまでするのは大袈裟だと言う意見が最後まであったというのも頷ける。
 僕のバイクは2度リコールの通知を受けてバイク屋で直して貰った事がある。何れも海外で事故が起きたので部品を交換するとして更に細かい説明があったが、どちらもおよそ起こりそうもない事故だったし、万が一部品にそんな不具合が出ても普通に点検なり洗車なりをしていれば事故が起きる前に間違いなく見付かるものであった。随分無駄なリコールだと思ったものだ。
 今回のリコールも、相手がアメリカのようにユーザーが何をするか想像もつかないような国なら、何かあってからでは手遅れだから早めに手を打とうと言うメーカーの決断は正しいと思う。が、だからと言って日本でまでリコールする必要はないのではないか。ただでさえ業績が苦しい時に無駄な出費ではないかと思うのだ。致命的な欠陥でない限り、不具合の起こる可能性を通知して注意を喚起しておけば、何も全ての車の部品交換までする必要はないと思う。特に日本では6カ月毎の法定整備まで義務付けられているのであるから、6ヶ月毎に件の部品の点検はプロの眼でもなされるのである。
 同様、安全を重視するあまりの無駄だと常々思っているものに食品の保証期限がある。余りにも安全サイドに偏っていて、保証期限を大幅に過ぎていても何ら問題ないものが殆どである。海外では保証期限が切れた商品だけ安売りしている日本食スーパーを見掛けるが、あっという間に売り切れると聞く。食品の種類にもよるが、日本メーカーの加工品であれば殆どの人が保証期限が切れていても大丈夫だと思っているのではなかろうか。
 しかし、幾ら中身が大丈夫でも保証期限が切れた商品は売れないから小売り店では廃棄される。誰もが未だ大丈夫だと思っているから、廃棄する代わりに古い商品を回収してラベルを張り替えたり、再加工に回したりする悪徳業者が出てくる。怪しからん話ではあるがそれで当たったという話は聞かないし、捨てるに忍びない気持ちも良く分かる。この無駄は全国規模で考えたら膨大なものだと思う。我が国は食品の60%以上を輸入に頼っているのだから、安全係数をギリギリまで下げて保証期限をもっと長くしてはどうかと思うのだ。
 リコールも食品の保証期限も結局はメーカーと消費者の関係に帰する問題だと思う。消費者は何でもメーカー頼みにせず自己判断力をしっかり磨き、余程悪質でない限りは何かあっても一端は自己責任としてメーカーに法外な保証を求めるような事は慎み、他方メーカーは消費者を馬鹿の集団だと決めつけずにもっと信用出来る社会になったら良いと思う。そうすれば無駄は省けるであろうし、ひいては地球環境にも優しい社会が出来る筈だ。