baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 中国の軍備増強

 新年早々、中国がステルス戦闘機を保有しているとのニュースが流れた。共同通信が写真も配信した。昨年、中国が航空母艦2隻の建造を始め、2014年にはその中の1隻が就航するというニュースがあった。しかし、艦載機の性能は恐らくは世界最高水準からは多少劣るであろうし、そもそも艦載機の離着艦には相当の練度が要求されるので、実戦に耐えるレベルになるには更に10年程度は掛るであろうと言われていた。しかも、海軍が幾ら増強されても近代戦では制空権がなければ海軍力は半減してしまう。従い、空母が就役すれば広範囲での作戦行動が可能になるという意味で大きな脅威ではあるが、未だ何処かに緊迫感が欠けていたように思う。
 しかし、ステルス戦闘機が完成に近付いているとなると、もう中国軍の軍事力を軽んじる事は出来なくなって来た。正確な数字は忘れたが、元々中国海軍では海上自衛隊の潜水艦の5倍だかの潜水艦が就航しており、南シナ海や沖縄列島辺りで盛んに活動している。日本の対潜能力を試す為か、領海ぎりぎりまで接近したりしている。台湾上陸を想定していると言われる強襲揚陸艦保有している。最近ロシアがフランスから最新鋭の強襲揚陸艦を購入することになったので、同様の性能の揚陸艦を中国が保有することになるのも恐らくは時間の問題であろう。更に対空、或いは対艦ミサイルや弾道ミサイルを装備した駆逐艦も既に就役している。そこに空母が就役すれば非常な脅威である事は間違いないが、それでも未だ空軍力にはかなりの力の差があるであろうと、一抹の安心感があった。その最後の安心感も、遠からず崩れそうな気配である。
 ステルス機は米軍のB-2爆撃機が最初の実用機ではなかったか。そのステルス性能は機体の形状に加え、電波を吸収する塗料の性能にも大きく左右される。その塗料は、当初は日本のTDKの磁粉塗料であった。B-2に続き近年になり戦闘機のF22が実戦配備され、昨年は沖縄にも二度ほど飛来した。F-22航空自衛隊の次期主力戦闘機の筆頭候補となったが、技術漏洩を恐れる米国議会の輸出禁止法に引っ掛かり、今の処空自が導入する見込みはたっていない。しかも余りにも高価な為、オバマ政権になってから製造が中止されてしまった。ステルス戦闘機とは、その位高価で最先端技術の航空機なのである。そんな航空機を中国が作っていると言う。スタイルも写真を見る限りではF-22に良く似ている。
 そもそも中国の軍備増強の目的がはっきりしないのが非常に不気味である。南沙諸島西沙諸島尖閣列島などの取り込み、東シナ海でのガス田の独自開発、等を強行する布石である事は想像に難くない。或いは独自に線引きしている自国の経済水域を実効支配する目的もあろう。沖の鳥島を日本から剥離しようともしているであろう。更には、もっと遠大な、強欲な目的を持っているように思えて仕方が無いのだが、少なくとも尖閣列島東シナ海ガス田開発、沖ノ鳥島を含む日本の経済水域での漁業権や海洋開発、など現実に日本の国益を侵害されるリスクが顕著になってきている事は間違いない。中国がこのまま軍備を増強し続けるなら、好むと好まざるとに関わらず我が国もGDPの1%未満などと言う呑気な防衛予算では賄いきれなくなるかも知れない。しかし、いざとなっても急には国民の理解を得られないであろうから、先ずは政府が国民に対して現在のリスクを数字を挙げて詳細に、論理的に説明をして理解の下地を作り始める必要があると思う。世界は想像以上に急激に動いている。もう国内の政局に捉われている暇はない。