baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 バスタ新宿

 先週から、ほぼ半年ぶりにインドネシアに出張し、昨晩戻って来た。今回はインドネシアの現地資本が独自の技術で製造しているクーベルチュア輸入の話で出掛けたのだが、行く度に工場の近代化が目に見えて進んでいるのを目の当たりにして、外資系ならともかく、インドネシア地場企業の工業化が着実に進んでいる事を従来にも増して実感した出張であった。
 行きは何時もの様に新宿西口から成田行きのリムジンバスに乗ったのだが、新宿西口を出ると直ぐにバスタ新宿に立ち寄る。つい一月程前にオープンした新しいバスターミナルであるから、未だ建物は綺麗なのは当たり前である。しかし新宿駅と直結などと謳っているが、実際はJRの駅と繋がっているだけで、小田急線、京王線都営地下鉄営団地下鉄とは、何れとも甲州街道で隔てられている。しかも地下通路も横断歩道橋もないから、これらの電車で新宿に出たら否が応でも一度地上に出て甲州街道を横断歩道の青信号で横断しなければならない。
 他方駅構内はと言えば、理屈は一応エレベーターでもエスカレーターでも移動は可能な新宿駅だが、その数も積載能力も乗降客に比べれば著しく少ないから、実際には常に人混みまみれの上に何処も彼処も階段だらけの構内を、大きなスーツケースを抱えて上ったり下ったりの移動を強いられる事になる。せめて地上3階とか地下5階とかで直結していれば良いのだが。
 それだけに許し難いのは、バスタには一般車が入れない事である。バスタの甲州街道からの入り口には一般車進入場禁止という柵が置いてあり、係員がいてバスとタクシーしか入れてくれない。しかも新宿駅前は駐停車禁止である。これは一体如何いう了見であろうか。駐車場がないのは仕方がないとしても、せめて一般車にも中に入って同乗者と荷物を下ろすぐらいは認めるべきではなかろうか。
 時間帯にもよるが元々日本一乗降客が多い新宿には、大きな荷物を持って電車やバスで行くのは傍迷惑になるから余り現実的ではない。畢竟大きな荷物のある時は家族が自家用車で送迎する人が多いと思うのだけれども、その自家用車が事実上使用禁止なのである。と言う事は、大きな荷物を持っている人は自家用車ではなく、自宅からタクシーを使えと言う事なのであろうか。これがインドネシアであれば間違いなくバスタの運営会社、特に管轄省庁の担当者にタクシー会社から莫大なお礼が流れていると勘繰るのが当たり前の、一般人を無視した非常識極まりない規則だとしか僕には思えない。
 何も分からない外国人には、どうせ自家用車も使わないだろうから、様々な行き先のバスの停留所が一つのターミナルに集まっているのは結構な事に違いない。しかし、地元の市民にとってはちっとも便利ではないバスタである。外国人観光客が激増して景気の下押しをしてくれるのは悪い話ではなかろうが、外国人の増加に浮かれて肝心の日本人には少しも便利ではない施設に大金をはたくのは如何なものかと考えてしまう。毎週末の伊豆の別荘通いに、タクシーどころか公費で公用車を使う某知事などには思いもよらぬ不便だろうが、僕には何とも腹立たしい不便なのである。例え成田までの所要時間が10分長くなろうと、せめて新宿西口の現行乗り場が何時までも残る事を祈るのみである。