baiksajaの日記

目前の一秒を大切に

 カホン

 カホンという楽器をご存じだろうか。楽器と言うよりはアイディア商品と言った方が良いのかも知れない。カホンcajon)はスペイン語で「引き出し」という意味。心から音楽が好きな南米の人達は何処ででもすぐに歌と音楽と踊りを始める、ところがドラムは中々持っては歩けない、そこで音楽が始まるとドラム替わりにそこらの物を手当たり次第に叩いてリズムを取る。或る時、誰かがたまたま食器棚か何かの引き出しに腰掛けてドラム代わりに叩いているのを見たドイツ人が、これは素晴らしいと商品化したものがカホンだ、と博識の友人に教えて貰った。その時の引き出しにちなんで、カホンと名付けられたそうだ。カホンは、ベニヤ板で出来た直方体の箱で、その一面にはスピーカーの様に丸い穴が開いている。その箱に腰掛けて、適当に叩くとドラム、というか太鼓の様な音がする。また、一面の中側にはスネールワイヤーが張ってあって、その面を叩くとスネールドラムの音がする
 今年の春、近所の川沿いの公園で中学時代の仲間が集まってお花見をした。こちらは年配の男女が、持ち寄ったお弁当を拡げてワインを酌み交わしながらお喋りにも花が咲いていたのだが、隣では若者のグループがギターとこのカホンで盛り上がっていた。何とも楽しそうな雰囲気を一層盛り上げていたのがカホンだった。酔った勢いで若者に声を掛け、カホンを見せて貰い叩かせて貰った。実はその時に初めて見たので、何処へ行ったら買えるのか、幾らぐらいするのか、など色々と教えて貰った。それから半年、欲しい、でもまた部屋の飾りで終わるのではないか、置き場所も無いではないか、と色々悩んだ末に結局先日買ってしまったのだ。昼に友人と会って、昼間からワインを飲んだのも影響した。「飲んだら買うな、買うなら飲むな」かも知れない。
 打楽器は初めてである。昔バングラデシュから民族楽器のドラムを買って帰り飾り棚に置いた事はあったが、自分で叩く為に打楽器を買うのは初めてである。リズム楽器というジャンルで言えば以前ジャズベースを少し触った事がある。ジャズのアップライトベースはリズム楽器と呼ぶ方が相応しいように思うのだが、やはり打楽器ではない。という訳で初めて打楽器に挑戦するのだが、やはり思ったようには叩けない。同じリズムを刻むのがひどく難しい。頭の中ではメトロノームのようにリズムが鳴っているのだが、肝心の手がよれてリズムが崩れてしまう。近所迷惑にならないようにゴムの足の下に更にタオルを敷いて、仕事の合間に叩いている。今のところ新しい玩具に夢中で、当分飽きそうもない。